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退院前カンファレンスで頼られる福祉用具営業の条件——多職種と「対等に話せるか」

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「退院、来週の水曜に決まりました」——この一報から、福祉用具営業のいちばん濃い時間が始まります。

退院前カンファレンスに呼ばれるようになると、仕事の景色が変わります。ただ、一度呼ばれることと、呼ばれ続けることは、別の話です。この場で本当に何が見られているのかを、整理してみます。

退院前カンファレンスとは、何をする場か

退院前カンファレンスは、入院していた人が家に戻るとき、病院側と在宅側が集まって、段取りを合わせる場です。

病院側からは、主治医、看護師、退院調整を担うMSW(医療ソーシャルワーカー)、リハビリのスタッフ。在宅側からは、ケアマネ、訪問看護、そして福祉用具の相談員。ここで、退院日、家で必要になる用具や環境、生活上の注意点を、すり合わせます。

福祉用具の相談員がこの場に関わることには、制度上の裏づけもあります。ケアマネには「退院・退所加算」という加算があり、病院からの情報提供の回数と、退院前カンファレンスへの参加の有無で、区分が変わります。カンファに参加して連携が取れているほど、高い区分(最大で900単位)が算定できる仕組みです。関係者がカンファに集まって連携すること自体が、ケアマネの報酬に直結している。だから、相談員も席に呼ばれる。(※加算の区分・単位は改定で変わるので、実務では最新を確認してください。)

段取りとスピードは、「最低条件」でしかない

ここでよく言われるのが、段取り力です。退院日という動かせない締め切りから逆算して、ベッドは前日に搬入、車いすは当日から、と組む。とりわけ住宅改修は、介護保険だと事前申請が必要で、承認前に着工すると保険が下りないことがある。だから「いつ現地を見て、いつ申請して、いつ工事するか」を逆算して間に合わせる——。

たしかに大事です。急な前倒しに、今日見て明日仕上げる、というスピードも要る。

ただ、正直に言うと、これは最低条件です。 できて当たり前で、たいていの営業はやっている。締め切りに間に合わせて、言われたものを届けるだけなら、そこで差はつきません。むしろ、それしかできないと、「便利に使える業者」で止まってしまう。

差がつくのは、「専門職として、対等に話せるか」

カンファは、PT・OT・看護師・医師といった、専門職が集まる場です。ここで残っていくのは、その人たちと対等に、専門職として話せる相談員です。

分かりやすいのは、その逆のほうです。PTが「3モーターのベッドで」と言えば、そのまま3モーターを運んでくる。看護師が言った通りのマットを持ってくる。言われたものを、ただ届けるだけの営業。これは、正直、誰でもいい。次からは電話一本で足りるので、わざわざカンファには呼ばれなくなります。

対等に話す、というのは、こういうことです。リハの見立てを聞いたうえで、用具の専門家として、自分の視点を返せること。「その移乗の状態なら、3モーターよりも、低床ベッドに介助バーを足したほうが、ご本人は立ち上がりやすいかもしれません。ご家族の介助力はどのくらいですか?」——聞いて終わりではなく、そこに専門職としての提案や確認を一つ乗せられるか。ときには、やんわり別の案を出せるか。

そして、この場は情報をもらうだけの場でもありません。こちらも、先に自宅を見ておいて、返す。「玄関に15センチの段差があるので、そこは手すりで対応しましょう」「廊下が狭いので、車いすはこの幅までですね」。情報を一方的に受け取るのではなく、双方向でやり取りできる人が、専門職として扱われます。

もちろん、これには土台が要ります。疾患のこと、予後のこと、用具のこと。PTや看護師と会話が成立するだけの知識がなければ、対等にはなれません。

正直に言えば、最初からこれができた人はいません。僕自身、初めて呼ばれたカンファでは、飛び交う専門用語にただ圧倒されて、ほとんど何も返せませんでした。土台は、その場で急に身につくものではなく、日々の積み重ねでしか埋まらない。裏を返せば、積めば埋められるものでもあります。その土台さえあれば、相談員はこの場で、代わりのきかない一人になれます。

まとめ——「運ぶ人」ではなく、「話せる人」が残る

退院前カンファで求められているのは、段取りが速い人でも、言われたものを間違いなく運ぶ人でもありません。それは、できて当たり前の部分です。

残っていくのは、PTや看護師と専門職として対等に話し、用具の視点から自分の見立てを返せる相談員です。制度のうえで、呼ばれる立場は用意されている。あとは、その席で「運ぶ人」に見えるか、「話せる一人」に見えるか。分かれ目は、そこにあります。

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